リレーインタビュー ~所有者編
店子さんと理想的な関係を築いた大家さん

所有者
本奥谷家住宅 奥谷加代子様  聞き手:LLPまちかつ 桑平麻由子

奥谷さんは大家業をされてもう長いのでしょうか。

奥谷さん:こちらの(奥谷家の)先代の義母がずっと大家業をしていたのですが、私も改修とかお家賃集金とかのお手伝をしていました。
義母が亡くなった後に、ずっと外で勤めていた主人よりも私のほうがよくわかっていて、大工さんとかとも親しいだろうからお前がやったらいいと主人に言われまして。
引き継いで3年、手伝っていた頃からだと33年くらい大家業に関わっていることになりますね。

住居以外の用途で貸し出されるようになったきっかけは?

奥谷さん:店舗として貸し出したのは「ぎゃらりー 福」さんが初めてでしたが、びっくりするような偶然のご縁がきっかけでした。
空き家が出てリフォームをした後、ちょうど毎年10月に開催されるイベント「じないまち後の雛」の日に、オープンハウスをしようと張り紙をしている私に、お雛さんを見せてもらえると思って声をかけて来られたのが福さんでした。
お互い勘違いだったのですが、家の中を見られた後、30分くらいで戻って来られて「貸してほしい」と。
お店を探しておられたわけでもないのにすぐに決められたので、「何日か考えられたらいかがですか」と申し上げたのですが、その場で契約されました。本当に驚きました。

古民家の雰囲気を相当気に入られたのでしょうね。初めて店舗として貸し出したということですが、いかがでしたか。

奥谷さん:福さんは素敵な先生。ちりめん細工の教室は寺内町にぴったりのお店で、皆さまに大変喜ばれています。ちなみに私は寺内町教室の生徒第一号なんです。それがきっかけで、「寺内町ひなめぐり」にも雛飾りで参加させていただくようになりました。
次も整体師のヤングハートさんと、店舗の方が続きました。それでこういう、店舗としての使い道もあるんだなあと思っていたところ、今度はキッチンあいさんが飲食をしたいと、LLPまちかつの紹介で来られたんです。

きっちんあいさんはこれまでの2店舗と違って飲食業でしたが、何かとまどいとかご不安とかはありましたか。

奥谷さん:その物件もすでに住居用にリフォームをしていたので、こんなところでできるんだろうかと思いましたが、台所以外はそのままでいいと言われて。飲食は火元とかが心配でしたが、出られるまでの5年近く、何の問題もありませんでした。

きっちんあいさんは名物煮込みハンバーグなどで人気店だったのですが、体調をこわされて店を一旦閉められたとか。
その後にすぐ同じ飲食業の「長屋カフェ ロサ」さんが入られたのですね?

奥谷さん:はい。ロサさんで初めて、私どもが事前にリフォームするのではなく、借主さんが費用を負担して、自由に改装するという形になりました。
一部を土間にしたり、天井を取ったりと大々的に改装されたのですが、好きにしてもらったほうがいいと判断して、一切口を出さずにロサさんにお任せしました。
結果的には、それがよかった。おしゃれで素敵なカフェになって、やはりお店はお店をする方に任せるのがいいのだとわかりました。

そして昨年(2018年)11月に、一度店を閉められたきっちんあいさんが寺内町に戻って来られました。その新しい店舗も奥谷さんの貸家だったとか。

奥谷さん:城之門筋にあった家が空いて、そこをまた改装して入られました。一大決心で再開されるのですから、私もできるだけの協力はしたいと思って歓迎しました。
一旦出られた店子さんが町に戻ってきてくれて、またこちらを頼ってくれるのは嬉しいですから。

大家さんとの関係が良好だったから、戻って来られたのでしょうね。これからも空き物件があれば店舗用として貸し出される予定ですか。

奥谷さん:店子の皆さんは寺内町を気に入って、寺内町でお店をしたいと来られた方ばかりなので、自分の店のことだけでなく、町のことも考えてくれています。
だから私も主人もそれぞれのお店に食事やお茶に行ったり、お稽古に行ったり、マッサージに行ったりと、いい関係が築けているのだと思います。
店舗が増えてにぎやかになったし、町にも活気が出てきて嬉しいです。
ただ、住んでくださる人もいないと夜になって通りが寂しいのも困りますので、バランス良く。今がちょうどいい感じだと思っています。